断尾断耳は動物虐待だ
 全米で初めて愛玩動物の整形禁止の条例が成立する見通しとの報道があった(zakzak05/2/8)。
 コ−ギ−には生まれながらに尻尾がないと思っている人や、ド−ベルマンが本来は垂れ耳で、見るからにおとなしそうで優しい顔立ちだと言うことを知らない人が多い。ド−ベルマンはどう猛ではなく、実際はおとなしい性格なのだ。
 人間の身勝手な思いで、断尾断耳しているのだ。

 日本は犬の断尾断耳について非情な国だ。かって、日本企業がエコノミックアニマルと国際的に酷評されたように、利益追求には熱心な国だが、動物愛護などの文化的な運動は低調な国柄だ。
 犬の断尾断耳については犬に関する各協会も素知らぬ振りをしている。儲けにつながらないと見ているのだ。ドッグショウを大々的に開催している協会も、犬種標準(スタンダ−ド)に 断尾断耳を黙認どころか、奨励しているような記述がある。その方が小犬が売りやすいからだ。

 犬の断尾断耳をする歴史的な理由を調べてみた。下記のような理由があったようだ。

1 オオカミに尾や耳を噛まれて出血死しないため。
2 キツネ狩で馬が犬の尾を踏む事故を防ぐため。
3 尾がないと、キツネと見間違えることが減るから。
4 断尾犬は狂犬病になりにくいと考えられていたから。
5 断尾した犬は税金を納めなくてもよかったから。
 
  現在では断耳断尾の理由にはならない。

  現在の理由は
1 JKCが犬種標準(スタンダ−ド)に定めているから。
2 ブリ−ダ−が慣習として続けている。
3 美容整形・ファション性のため。
4 垂れ耳の犬は断耳により耳の病気が減るから。
5 尾に糞がついて不潔になるから。

 JKCの犬種標準(スタンダ−ド)に 最も大きな問題がありそうだ。
前記のハリウッド市の条例案は人間の身勝手な美容整形・ファション性のための断尾断耳を認めないと表明している。
 人間は自分で美容整形をするかどうかの判断をするが、動物はその是非を判断できないから、条例で禁止するとのこと。同じ思いであったと喜んでいる。

 断尾断耳が禁止されている国はドイツ、オランダ、デンマ−ク、スウェ−デン、ノルウェー、フィンランド、ニュ−ジ−ランドとイスラエルだ。

 禁止運動の盛んな国はイギリス、オ−ストラリア、スイス、ルクセンブルグ、キプロス、ギリシャだ。

 それらの国の中にアメリカがなかったが、カリホルニア州南部のウェスト・ハリウッド市が動き出した(2005/2/9)。全米に広がることを願う。

 残念ながら、我が国にはその動きはない。犬に関する協会は金儲けに忙しそうだ。動物を単に金儲けの手段としか考えてないような団体は「愛犬」という言葉を安易に、あるいはカムフラ−ジュのために使ってもらいたくない。
 審査員がだだ一人で審査し、チャンピヨン犬を決めているドッグショウは公正ではない。勿論、犬の幸せのためにあるのではない。関係業界の発展のため、わかりやすく言うと、業者が儲けるためにあるのだ。

 改正動物愛護法の趣旨を愛犬家一人一人が理解し、ノ−リ−ド問題や断尾断耳などの問題を深く考えていきたいものだ。国民一人一人が声を出さないと、行政も業者も動かない。

 これからは断尾断耳した小犬を買わない人がほんとの愛犬家だといいたい。
 愛する動物の幸せを考えて飼うことは、その人も幸せになることなのだ。

 断尾断耳の対象とされている主な犬種。
ウェルシュ・コ−ギ−・ペンブロ−グ、ド−ベルマン、ヨ−クシャ−・テリア、プ−ドル、フォクス・テリア、ボクサ−、ジャ−マン・ポインタ−、シュナウザ−、グレ−トデンなど多数。
尾のあるコ−ギ−
ド−ベルマン3
ド−ベルマン2
ド−ベルマン
 
断尾断耳は中国の纏足(てんそく)に似た悪習だ。
 自然の摂理で授かった生まれたままの姿を醜いといって、ド−ベルマンやコ−ギ−などの犬を断尾断耳するのは人間の傲慢なエゴのなせる非情な行為だ。
大自然の摂理に反する悪習は廃止すべきだ。

 断尾断耳は中国の漢民族の間に数百年も続いた纏足(てんそく)の奇習悪習に似ている。
幼女の足を緊縛したり、小さい靴をはかせたりして、大きくならないようにして、嫁入り前には三寸(約9cm)の足にした。普通の足の半分以下の大きさだ。

 その纏足の作り方は残虐非道で、苦痛の毎日が幼女が成人するまで続く。成人後も正常な歩行でさえ困難で走ることなどできない。
 しかし、よい嫁入り先を望み、よいお嫁さんになるには不可欠な身体的な条件とされていた。裕福な家庭では纏足でない人は女性とは認めてなかった。

 男性が纏足の女性を求めた表向きの理由は「三寸金蓮」とのこと。三寸ほどのハスの花ように、纏足は美しいと称えられた。
隠された理由は歩行困難な足で歩くと、女性の局所の筋肉が発達し、男性を閨房で喜ばすことができると信じ込んでいたとのこと。
清朝は禁止令を出したが、地方では50年ほど前までは続いて行われていたとのこと。
 
 纏足は女性の人権侵害の悪習であった。 断尾断耳は動物虐待の悪習だ。
動物愛護法は動物の虐待を禁止している。犬の断尾断耳は法律違反だ。
平成14年に改正された動物愛護法はその第1条に「動物の虐待を防止」し、
第2条に「 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」と規定してある。

 すなわち、「何人も、動物をみだりに傷つけ、又は苦しめることのないように」しなければならないのである。再度いう。犬の断尾断耳は動物虐待で、動物愛護法違反だ。

 第27条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

 愛護動物には犬や猫が含まれており、傷つけた者には断尾断耳をした者が含まれるのは当然だ。なぜ、このような法律があるのに、法律違反の断尾断耳が平然と行われているのだ。

 公園への犬の立ち入りや公園でのノ−リ−ドは、法律条例では禁止してないのに取り締まり、法律が禁止している断尾断耳は野放しにしている。
国や地方自治体は犬の管理保護については、あべこべなことをしている。なぜだ。
 国や地方の役人はコンプライアンス(法令順守)の意識はあるのか。
利益団体からの賄賂接待付け届けに目がくらみ、、国民市民の幸せが見えなくなっているのではないか。

 JKCにもいう。断尾断耳は動物虐待だ。その上、法律違反だ。
 
 世界的に断尾断耳禁止の動きが大きなうねりとなりつつある。なのに、日本人は無関心だ。愛犬家の皆さんにお願いする。ほんとに犬が好きなら、断尾断耳の犬は新しくは買わないようにしましょう。







 
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開設2005.2.10 Counter
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