愛犬と登山 パピヨンと高山200回以上の教訓
 
     愛犬の登山技術
    高山200回以上の教訓
  
      日本第二の高峰 北岳より望む八本歯ノ頭

 愛犬と高山登山歴200回以上の教訓をもとに愛犬登山技術を記述します。
国内外での愛犬とのご旅行にも、ご参考になれば幸いです。 
  まず、野原や低山登山で愛犬の行動を理解することが大切です。
くわえていたボ−ルを落とした時や野生の鹿を見つけて、急斜面を駆け下りようとしたこともあります。その時、言葉で制止できるかどうかは犬の生死に関わることです。瞬時に反応できなければ、死ぬこともありうるとご理解ください。
 
 ご家庭や街で、よく言うことを聞くからと言って、山でも同じような行動をするとは限りません。開放感、好奇心、あるいは、恐怖心で飼い主の予想できない行動をすることもあるのです。まずは、低山登山で、愛犬と飼い主の信頼関係を築いてください。
 なお、夏山にはダがいます。ワラビ取りに行った時に、1ミリほどのダニが100〜200匹付いたことがあります。薬剤で退治すると、犬にも害が及びますから、風呂場で一日がかりで、手で除去したことがあります。大きく成長した後では、手で除去しにくいほど固着してしまいます。
 ダニの付着予防のために、いろいろな市販薬剤を試してみて、一番効果があるのは、フマキラ−、ア−ス・ジェットおよびキンチョ−ルの家庭用ノミ、ハエ、蚊などの駆除剤ということがわかりました。安いことも幸いです。それらの商品の成分はレスメトリンとフタルスリンで同じです。
 登山のスタ−ト地点で下車したら、犬が地面に付く部分、すなわち、足と腹の部分だけに、フマキラ−を噴霧すればよいのです。皮膚にはつけずに、毛に臭いが付く程度にわずかでよいのです。それで、一日は大丈夫です。

 愛犬の皮膚に滴下し、体内に吸収させるフロントラインなどは副作用が強いので、使用していません。詳細は「ノミ駆除剤フロントラインに関する6編の随想集」に記述してあります。


  追加補足   

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 愛犬の登山技術の話に戻ります。

 パピヨンが山頂の三角点上に乗っている写真は愛犬の登山技術の一つとして掲載しました。
 落ちたら、死ぬおそれもあるような岩場で、飼い主が安全な足場を確保するまで、静かに待つことができる技術です。愛犬と飼い主との信頼関係が基本です。
怖い時でも飼い主を信頼できるかどうかです。
 犬によっては高所恐怖症の犬もいるようです。
一般的に犬は下の谷底が見える丸太の橋はこわがります。
恐怖で、動けなくなったり、凶暴になることもあるようです。徐々に慣らす以外に良い方法はないでしょう。

富士山の五合目より上は登山道全体が砂礫帯です。
 その砂礫は犬の足を切り、血だらけにします。愛犬にも丈夫な靴が必要です。
その作り方は下欄に書いてあります。

高山病になる犬もいます。血液中の酸素濃度が低下しているのですから、直ちに下山する以外に良い方法はありません。長時間低気圧状態にいることは危険です。体質的なものですから、高山登山はしないことにしましょう。
 
迷い犬になるケ−スも行列を作って登る富士山ではあるようです。あまりにも人出の多い山や時期に愛犬との登山はおすすめできませんが、もし、犬とはぐれた時の対策は考えておいた方がよいでしょう。犬は飼い主とはぐれると、元来た道を足早にもどります。山では人の足では追いつけないかもしれません。 その対策は登山用や運動会用などので、日頃、訓練しておくことです。下記の「愛犬の登山用具」の項に詳述してあります。

 難所の多い高山では、犬はリ−ドをしていては人も犬も危険です。高山登山は訓練された犬で、ノ−リ−ドで犬自身の判断で難所を渡れるようにしつけや訓練をしておく必要があります。
 銀座、新宿の雑踏をリ−ドをして、犬と一緒にスム−スに進めますか。高山の難所は街の雑踏よりももっと変化があり、危険です。

山には犬がわたれないハシゴ、クサリ場、岩場、ガレ場等があります。無知で無理をすると、犬の骨折怪我だけではすまないトラブルを引き起こすことにもなります。高山への愛犬との登山は天国と地獄の合間を行き来しているのだと自覚した方がよいでしょう。
 谷川岳の石黒尾根を登っていたとき、天神尾根をロ−プウェイで登ったという愛犬との登山者に会いました。夫婦で柴犬一匹をつれていました。こちらのパピヨンを見て、下山の情報を尋ねてきました。始めてのル−トだとのこと。驚きました。
 石黒尾根は危険度、登山技術ともに健脚向きのコ−スです。
長いクサリのあるラクダの背の鎖場などのほか、幾つもの岩場やハシゴなどがあります。そこを始めて、愛犬を連れて下山いているのです。無謀です。事故を起こしに山に来たようなものです。
 引き返して、ロ−プウェイで下山した方が無難で、時間的にも早く下山できると告げました。ロ−プを持っているので、犬を縛って、つり下げて下山するとのこと。それ以上、何も注意しませんでした。と言うより、注意のしようがありません。
 今でも、無事に下山したかどうか気になっています。
 
 この愛犬との登山者には基本的な間違いが二つあります。
  その一つは始めてのル−トを下山道に選んだということです。
登山を安全に楽しむには、始めてのル−トを下山道に選ばないことです。事故や遭難は下山時に多いのです。
 登りの時に難所だとわかると、引き返して、登山を止めることもできますが、下山時は引き返すこともできず、中止もできません。勢い、難所でも無理をすることになります。事故、遭難につながります。

 愛犬のパピヨンは200回以上の登山で、それを実行しています。何度か登山途中で中止したことがあります。山はなくならない。また、別ル−トで登るからと帰ります。
 
 第二の間違いは愛犬との登山なのに,一般登山者の情報を基に下山ル−トを選んでいることです。登山技術の優れた上級登山者でも、犬連れだと、良くて中級、愛犬が大きかったり、しつけが悪いと、初級者になると自覚した方がよいでしょう。
 愛犬との登山のル−ト選定は一ランクも二ランクも下げて行うことが大切です。
健脚向きの難コ−スでは事故を起こす可能性が高くなります。犬も人間並に危険度に応じて行動いてくれるとは限りません。むしろ、それは期待しない方が無難でしょう。

 ロ−プで縛られた犬が二階の屋根よりも高い所からつり下げられて、おとなしくしているだろうかと気になります。無茶な人間の無謀な行動です。怖い目に遭わされているようで、犬がかわいそうです。

 普通の観光旅行に愛犬を連れていくような安易な気持で、愛犬と高山登山をすることは思慮不足です。遭難しに行くようなものです。犬の訓練だけでなく、不慮の事態にも対処できるような準備万端と心構えが不可欠です。 
 左の写真は北岳への登山途中に右岸の八本歯の頭のハシゴを撮影したものです。下山時、あなたの愛犬はどうしておろしますか。
 愛犬と高山への登山を漠然と夢見ている人は真剣に考えてください。下山できないと、大変です。山には疲労凍死と言う 怖い死に神がいます。
 一夜で死ぬことも珍しくありません。
 
 下山時に始めてのル−トを選ぶことは無謀です。どうしてもというなら、徹底的に情報を収集しておくことです。 
 本や登山者の気楽な情報には注意が必要です。
 北岳への始めての登山で、広河原から八本歯のコル経由のル−トを登りました(2002.8.犬 13才10ヶ月)。驚きました。写真のような高い木製のハシゴが左岸の北岳へのル−トには、40個近くもあるのです。自宅の数冊の登山案内書は、そのことに一言も触れていません。観光旅行業者の登山バスツア−のお客さんが通るル−トだけが強調されているのです。
 一般的な登山図書は商業主義で汎用性を重視しているのです。より多くの人が参考にする情報しか記述いないのだと気づきました。
 だから、下山時に多くの登山者と異なるル−トを、初めて下山することは危険だということです。
 
 さもあろうということで、愛犬を連れて、登りにコル経由のル−トをとったので、時間は大幅にのびましたが、トラブルもなく山頂に立ちました。シナノキンバイの花や甲斐駒などの写真30枚ほどをを撮り、早々に下山。予定より2時間ほど遅れていたので、下山は高度計で帰着時間を概算しながら、歩行速度を調整して,陽のある中に広河原に,日帰りしました。標高差1672m。気楽な登山の約2倍。
 愛犬は登りは70%ほど歩かせましたが、下山時は歩かすと時間がかかるので100%バッグの中でした。
 早朝4時出発で14時間弱、水消費量3リットル。

 何も知らずに、コル経由のル−トを下山する人がいたら、時間的にも、肉体的にも、精神的にも負荷が大きくかかるでしょう。
 愛犬との登山の下山ル−トの選定は慎重にも慎重を期してください。
 
                                          
         クサリ場
  
 高山にはクサリ場がよくあります。垂直なクサリ場もあります。クサリ場のある山はむしろ安全です。ほんとに怖いのは危険な場所なのに、何もない所です。だから、登山経験の多い人ほどクサリ場のある山を気軽に「安全な山だよ。」と言います。犬のことなど念頭にありません。その言葉をそのまま受け入れると、山でひどい目に遭うことになりかねません。地元の人の言葉も要注意です。
「幼稚園児も一緒ですが、登れますか?」とか、連れて行く犬の登山経験とその技術にあわせて、聞き方を工夫した方がよいでしょう。ただ、犬連れだと言っても、聞かれた方も的確な返事はできないでしょう。
 
 上の写真は両神山の八丁尾根の東岳と西岳との間にあるクサリ場の一つです。写真さえ撮れない急峻なクサリ場もいくつか続きます。写真のクサリ場は平均傾斜角度60度ほどです。一部に垂直な所があります。あなたの愛犬はどうして渡りますか。
 その先には、両側が100mほどの絶壁で、狭い所は幅1m少々の裸岩のゴツゴツした岩稜の頂上を通過しなければならない肝だめしの難所もあります。わずか10m程度の距離ですが、強風が吹くと、谷底に吹き飛ばされそうです。そこにはクサリも柵もはありません。不気味な裸の岩稜が横たわっているだけです。
 
 腰に固定したバッグに入っている愛犬が抜け出さないように気にしながら、腹這いに近い格好で岩の突起をしっかりと握り締めながら、慎重に通過しました。バッグにおとなしく入っていない犬だと、危険です。
 犬連れでないのに怖くて引き返したと述懐した中年男性もいます。引き返すのも勇気のある正しい登山です。自分自身がよくわかっており、無謀なことはしない良識のある人です。 
 
 
 
 岩場も犬には無理な所があります。抱えあげなければ通過できない巨岩の連続する岩場もあります。下山時は犬が飛び降りるのを制止しなければ、足を痛めることがあります。自分を登山犬と思っている犬は自力で下りようとしますから、注意が必要です。
 パピヨンは足の骨が細く、痛めやすいです。
  
 ガレ場も登山後半の疲れの出る頃には、犬の元気具合に注意が必要です。飛び越えられず、脛を岩に当て、怪我することがあります。
 特に、老犬には気をつけてあげましょう。若いときには、飛び越えていた程度の石も、飛び越せなくて、脛を怪我します。毛があるので、内出血していることがわからず、気がついたときには、かなり、悪化していたことがあります。傷をペロペロなめるので、毛がぬけて、痛々しくなります。年のせいかも知れませんが、全治に半年かかりました。
 
  真夏の地肌の尾根は強い日光を浴びて、温度が上昇しています。真夏のアスファルト舗装と同じです。小型犬は、その熱を体全体に直接受けます。息づかいに注意が必要です。呼吸が激しくなる前に地面から離すことが不可欠です。
 頭や体全体に水をかけてやるのも、体温を下げるのに有効です。
  
 愛犬の登山用具    
 
犬を入れるバッグ 愛犬のパピヨンは、飼い主の左肩から右腰にベルトでつり下げられ、腰に固定された手作りの専用バッグに入って、ハシゴや鎖場などの難所を通過します。夏用と冬用の二つあります。
「ラクチンだね。」とよく声をかけられます。
 犬の雨具は専用バッグよりもやや大きめの透明ポリ袋に、穴開け機で直径5mmほどの穴を十数個開けて、鳩目を付け、その袋を専用バッグに使用時に固定できるように工夫したものです。台風のような大雨でも犬は濡れません。
 犬の防寒着は皮コ−トと毛皮コ−トの二つあります。いずれも、運動性を考慮した手作りです。アライグマの毛皮コ−トはマイナス10℃などの厳寒時に使います。冬山でも、普通は皮コ−トを着せます。防寒靴はいろいろ試したのですが、嫌がります。無いほうがよいようです。 
 
 犬の登山靴
 富士山の五合目以上は砂礫帯であり、その砂礫は犬の足を切り、血だらけにします。二回目の登山時は、ゴム付き軍手の指先を切って、パピヨンの靴とし、絶縁用ビニールテープを巻いて犬の足に固定しましたが、2時間ほどで穴が開きます。火山の山でない他の山ではその靴は破れません。丈夫です。
富士山の砂礫は細かいガラスのようなものです。
 三回目は、工業用のゴム手袋を材料にしたところ、大丈夫でした。
なお、富士山の山小屋に飼われている秋田犬は靴は履いていません。慣れなのでしょう。 
 
犬に鈴をつけています。
 その効用の一つは、熊よけ用です(右に写真)。
 東京都の奥多摩にもツキノワグマが数十頭生息しているそうです。人家近くの柿の木に登って、柿をとるとのこと。その対策として、柿取り大会の参加者を奥多摩町が新聞広告で募集したこともあります。
 
 効用のもう一つは、他の登山者に対する配慮です。ヤブや草むらから、いきなり犬が現れると、熊ではないかとびっくりさせたり、狭い岩場などでは、驚いて転倒するかも知れません。鈴の音があらかじめ聞こえていると、野生でない動物、、即ち、飼い犬だということがわかり、無用なトラブルを防止できます。愛犬と登山を楽しむ人は、このことをご参考にしていただきたいと思います。
 なお、その鈴の音は街の雑踏を歩く時も役に立ちます。その音で左後からついて来ていることがわかります。
 
  登山用でも、運動会用の笛でも良いです。日頃、訓練しておくことです。その笛の音は飼い主だと言うことを覚えさせるのです。入山したら、それを吹いて訓練するのです。
ただし、山では、その笛の音は遭難の知らせであることを認識していてください。
  
 しつけが悪く、リ−ドが必要な犬は高山登山には向きません。
犬が自分の判断で危険を回避できるような自由な行動ができることが不可欠です。リ−ドで誘導していては登山時間も長くなります。言葉で誘導できるように訓練されていることが大切です。
 
 高山に連れて行く犬はどの程度のしつけが身についているかをご参考までに記載します。
 
愛犬のパピヨンのチビちゃんは、銀座、新宿、吉祥寺などの雑踏をノ−リ−ドで左後ろからついて来ます。どんな雑踏でも人混みをうまくかわしてついて来ます。特別な場合以外はノ−リ−ドです。
 住宅街の狭い道路でも白線から車道へ出ることはありません。車道のダンプの轟音も気にしません。交差点も「よし」と言うまではわたりません。
 大型ス−パ−の入口で、飼い主を見送り、買い物が終わる頃には出口で、おとなしく待っています。誰かに連れ去られそうなときは、その手から、サッと逃げます。なでられるのは、好きでおとなしくしていますが、知らない人に抱かれるのは警戒しているようです。


 会話はすべて普通の言葉です。山では水は貴重なので、「水いる?」とか「水?」と聞いて、うなずいて返事をしないとあげません。すべてのことについて、返事がないのは「ノ−」ということにしてあるのです。 生活に必要な言葉はかなり理解しています。 
 山で始めて合った登山者とも自分でポ−ズをとって写真に収まります。「よし」というまではカメラを見ています。
大小便の場所以外は、すべてのことが自然に身についたのです。おとなしい利口なパピヨンです。
体重は3.5Kgで猫よりも軽いです。

 山は街よりはるかに危険です。愛犬との登山は天国と地獄の隣り合わせです。山の状況は変化に富み、山の天気以上に急変します。
 ご自分だけでなく、愛犬の登山技術も考慮して登山を楽しんでください。
 いつか、山でお会いできる日があるとよいですね。    
 
掲示板からの転写
RE:犬は山が好き? 投稿者:管理人
 
 今日の今日まで、山が好きでない犬がいるとは考えてみたこともありませんでした。管理人の愛犬のパピヨンは敏捷で跳躍力がある犬のせいか、山が大好きです。
 
 登山途中、下山者と1分以上は立ち話ができません。60秒を過ぎた頃には、吠え出します。早く頂上にいこうと促すのです。下山者も理由を知って笑い出します。

 初めてのどの山でも、頂上では、喜んで遊んでいます。バッグをおろし、飼い主がゆったりしているので、そこが最終目的地の山頂だとわかっているようです。

 吠えることが、あと一つあります。それは、他の登山者に追い越された時です。追い越されるのは、登山犬のメンツにかけて、くやしいようです。後ろからついてきながら、しばらく吠えたり、クンクン言っています。

 老犬ならいざ知らず、若い犬は山野に連れ出すと、家庭や街で見る犬とは違う生き生きとした動物本来の姿を見ることができます。人間と同じく、心身共に健康になると思います。

 コンパスの使い方は、ご参考になったようで幸いです。
      
 愛犬のチビちゃんは享年15年40日で穏やかに急逝永眠しました。 
愛犬も「千の風になって」山野を駆け遊ぶ!    千の風になったチビちゃんをしのんで。
  
その悲しみは別項人それぞれのセラピ−犬 犬のカタログにも記述してあります。
 
          
別項に目的地 コンパスセットで安全登山 マニュアルで簡単にセット ]を掲載してあります。
 マニュアルでセットするだけでコンパスの使い方が習得できます。
  登山犬二代目
幼犬のしつけと訓練については別項の写真集小犬のしつけと訓練に記述してあります。
            
 
 

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愛犬と登山
    
開設 2003.4.26 Counter        愛犬と登山の北岳写真集
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